平成27年11月定例議会質問

1 地方創生と南信地域の戦略的振興策について

【小池議員】

国土形成計画が8月14日閣議決定され、平成20年策定の現計画が策定された。計画期間は2015年から2025年、国土に関わる幅広い分野の政策について長期を見通して統一性を持った方向付けがなされ、「対流促進型国土形成」を基本コンセプトに、「コンパクト化とネットワーク」、「個性」と「連携」による「対流」の促進、「ローカルに輝き、グローバルに羽ばたく国土」により各地域の独自の個性を活かした「これからの時代にふさわしい国土の均衡ある発展」を実現するとされています。

「国土のグランドデザイン2050」では、東京圏、名古屋圏、大阪圏からなるメガリージョンがリニア中央新幹線等の交通体系整備により一体的に機能し他国に負けない経済成長が期待され、長野県では飯田市を中心にその圏域を担うことが期待されています。

また、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震が近い将来高い確率で起こることが予想され、リスク分散型の国土利用のもと、東京一極集中を解消し、ひと・まち・しごとと創生により地方が一定の役割を果たすことが急務となっています。

そこで、三遠南信自動車道路とリニア中央新幹線整備により、静岡圏域250万人との交流による新たな観光ゴールデンルートの開発、DMO(観光強化の連携体制)の創設による観光事業の振興、国際的コンベンション施設の設置によるMICE(企業の会議、学会等の国際会議、大規模な展示会)の誘致による交流人口の促進が実現されることが必要と考えられます。

そのために、飯田地域を国土のグランドザインに対応できるよう連携中枢都市圏を目指す地域としての位置づけ、リニアバレー構想を推進することが必要と考えます。国土強靭化地域計画や地方創生総合戦略との戦略的連携を図ることが期待されるが、この点についての知事の考えを伺います。

【阿部知事】

リニアバレー構想の推進による飯田下伊那地域の戦略的振興策についてでございます。

飯田下伊那地域は、首都圏と中京圏の中間に位置している地域であり、かつ、豊かな自然環境、さらには様々な文化資源に恵まれた地域でございます。非常に高いポテンシャルを有していると考えています。

こうした利点を活かしつつ、リニア中央新幹線を活かした地域振興を図るため、今年2月に伊那谷自治体会議において「リニアバレー構想(骨子)」を取りまとめたところでございます。リニアバレー構想が目指す姿として大きく4点掲げているわけです。

① グローバル活動拠点

② 災害時のバックアップとしての食料・エネルギーの新しい供給拠点

③ 都市空間と大自然とが近接した「対流促進圏域」

④ 世界から人を呼び込む感動フィールド

こうした構想をしっかりと具体化し、着実に実現していくことが、飯田下伊那地域のみならず、伊那谷さらには県全体の活性化につながっていくと考えています。また、こうした方向性は、国土強靭化地域計画や県の総合戦略と目指す方向は一致していると考えているところです。

リニア駅の開業を見据え、県としても伊那谷自治体会議をさらに活性化をさせ、「リニア」で身近になる大都市や世界の活力を引き寄せて、豊かな自然環境の中で、地域もそしてそこに暮らす人々も輝く「リニアバレー」の実現に向け積極的に取り組んでまいります。

【小池議員】

リニアバレー構想の推進には、特に県の強力な関わりが重要な時期になると思います。今後のご努力に期待を申し上げたいと思いますし、地域挙げてしっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 

2 来年度に向けた地方創生の取組等について

【小池議員】

長野県の総合戦略は、他の自治体と比べて、どのような特徴があるのか

【知事】

人口減少に向き合うにあたり、国が示した計画期間である5年という短期間での対応策のみでは、地域の強みを打ち出しづらいのではないかと考えている。

そこで、短期的な対応だけでは描ききれない、中長期的な信州創生の姿と信州らしさを伸ばす突破策を、6つの「信州創生の基本方針」として明確にしたことが、本県の総合戦略の最大の特徴であると考えている。

また、各方針の中でも特徴あるキーワードを入れ込み、長野県の独自の強みを活かす方向性を打ち出している。

例えば、

・「人生を楽しむことができる多様な働き方・暮らし方の創造」では、一人多役など多様な働き方、人生二毛作社会の確立

・「活力と循環の信州経済の創出」では、価格決定力のある製造業への転換、地消地産の推進

・「大都市・海外との未来志向の連携」では、週末信州人等の二地域居住の推進、日頃の交流・有事の絆 など。

こうした方向性を打ち出すことによって、長野県の特色をしっかりと出していこうと努めたところであり、それぞれの特徴ある政策を着実に推進してまいりたい。

 

  1. 新型交付金について、総額や補助率についての所見を伺う。

【阿部知事】

総合戦略は国が作って、取組むということを受けて各都道府県、市町村が取組んでいるものであり、それを後押しする財源措置は国がしっかりと確保することが重要と思っている。

交付金については、平成28年度予算に加え、平成27年度補正予算での検討が政府部内で行われていると承知しており、補正、当初併せて十分な規模を確保してもらいたいと思っている。

補助率については、平成28年度の概算要求段階では2分の1とされており、事業執行に支障が生じないよう、地方の負担については十分な地方財政措置が重要だと思っている。また、平成27年度補正予算で検討中の交付金については、年度途中の補正対応であることから、全額国費で対応することが基本だと考えている。

制度設計においては、地方が自主性・主体性を発揮できるように、客観的基準に基づき配分される基礎交付分を確保してもらいたいと思っている。特に長野県は小さな町や村があるので、先駆的な取組ばかりを強調して交付金の対象になると、長野県の町村には目が向きにくい環境になりかねないので、そうした町村にもしっかり配慮していただきたいと思っている。併せて、交付金であるので、対象分野や対象経費の制約を無くして自由度の高いものとすることが重要と考えている。

こうした点について、引き続き政府に対して要望を行っていく。

 

3. 18歳選挙権に向けた主権者教育等について

【小池議員】

①今後は、若者や子どもたちに対し、社会の一員としての自覚を促し、政治への参加意識を高めるための主権者教育の充実が、重要となると考える。国政だけでなく、首長や自治体議員の選挙への投票もあることから、県の課題や市・県政の状況などについて、知ってもらう機会を作ることが必要であると考えるが所見を伺う。また、長野県では主権者教育の推進をどのようにしていくのか併せて伺う。

【伊藤教育長】

主権者教育に関しますお尋ねに順次お答えを申し上げます。

先ず、県の課題や市・県政の状況を知る機会を作ることについての所見とのお尋ねでありますが、議員ご指摘の通り、主権者教育において生徒の身近な地域の課題について調べたり、町づくりの参画方法について学んだりしていくことはたいへん重要だと思ってございます。

国が作成、配布した副教材の中にも、地域課題の見つけ方について実践例が示されており、行政発行広報誌や自治体の長期計画などを利用し、地域の政治や行政に対する理解を深める取組が紹介されているところであり、各学校においても地域の課題に対して理解を深める学習をしていくことが必要と考えてございます。

つぎに本県におけます主権者教育の推進方策についてのお問い合わせでございます。

主権者教育を通して、生徒一人一人の政治的教養を高め、社会に主体的に参画し、自ら考え、自ら判断する主権者を育てていくことが重要であり、各学校において、副教材や指導資料などを用いて、生徒の実態や学校の実状に応じて主権者教育を着実に推進していくことが肝要と考えてございます。

県教育委員会においては、6月に連携協定を結んだ県選挙管理委員会の協力も得ながら、模擬投票などの体験的な学習を行っているところであり、また、現在、指導のポイントをまとめた教師用のリーフレットを作成しているところでもございます。言及いただきましたモデル校の実践事例と合わせて各学校に周知し、各学校における主権者教育が充実するよう支援してまいりたいと考えてございます。

【小池議員】

②学校においては、自分の意見を主張するだけでなく、異なる意見にも耳を傾け、合意形成を図ったり、自分たちで調べて、意見をまとめ、発表したりできる能力の育成と政治的中立性を守りながら、社会の中には様々な意見があることを知る環境整備が重要ではないかと考えるが所見を伺う。

【伊藤教育長】

つぎに、様々な意見があることを知ることなどの環境整備についてのお尋ねでございます。ご指摘のとおり、現実の社会問題に対しては様々な見方があり、異なる見解や考え方を比較・関連付けて考察する学習を行うことは、生徒の政治的教養を高めるためにたいへん有効であると考えてございます。

このような学習の具体例とし、主権者教育のモデル校において、様々な意見がある時事問題に対して、見解の異なる複数の新聞記事を比較・関連付けて考察し、社会を形成する主体的な判断力を養う実践に取り組んでいるところでございます。

県教育委員会では、こうした取組を実践事例にまとめ、各学校に紹介してまいりたいと考えております。

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